中学受験と「スマホ脳」②（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #スマホ脳 #依存性

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。「中学受験と『スマホ脳』」の続きです。そのタイトルもズバリ「スマホ脳」という、スウェーデンの精神科医が著した書籍が2021年にベストセラーとなりました。興味がある方はご一読いただければいいかと思いますが、ご存知ない方のためにいくつかポイントだけ挙げてみたいと思います。

「人類は地球上に現れてからほとんどの時間を狩猟・採集に費やしており、それに合わせて進化した脳は現代社会に適応できていない。」「スマホやSNSは脳の報酬系を刺激して依存させ、集中力を低下させる。」「SNSはむしろ人を孤独にさせ、特に子どものスマホ利用は自制心の発達に悪影響を及ぼす。」

前回、スマホ依存から中学受験を放棄せざるを得なくなった子どもの例を挙げましたが、この子を「スマホ脳」の典型例としたこと、ご納得いただけましたでしょうか。特に問題なのは2番目に挙げた「依存性」で、大人で例えればアルコールや薬物依存、ギャンブル依存に匹敵すると言えば、その深刻さもわかりやすいのではないでしょうか。「そんな大げさな」と言う勿れ。3番目の「特に子ども…」という部分、なぜ「特に子ども」なのでしょうか？脳が充分に発達している＝それなりに理性はあるはずの大人でさえ、酒やギャンブル等の刺激（快感）の前にその理性が崩壊することが多々あるのです。その脳の発達すらが未熟な子どもが同じような刺激（快感）を与えられたら、自制心の発達が見込めなくなるのは当然でしょう。攻撃性が増すのもそのせいです。

また、その状態から抜け出すのも大人以上に困難であると推測できます。なぜなら、いわゆる「理想の状態」を未だ確立していない者が、知るはずもない「理想の状態」を目指せる訳がないからです。自分の悪いところを自分でわかっていないのです。もっと言えば、自分は何も悪くないと。だから、リアルな世界にいる「スマホを取り上げる親」も「スマホを与えるなという先生」もすべて「敵」。その反動で、自分と同じようにスマホ依存の者だけを仲間とし、スマホやゲーム・SNSという仮想空間だけで繋がりを持とうとする。「SNSがむしろ人を孤独にする」とはそういうことを指すのでしょう。

翻って考えるに、中学受験ほどリアルな世界はないと強く感じます。「努力をすれば必ず報われる」などというきれいごとが通用しないことも少なくありません。かと言って「3ヶ月だけ過去問演習すれば神大附属に受かる」「（ウチの子は賢いから）好きな野球をずっとやりながらでも灘に合格できる」なんてムシのいいことを考えても、そうなる確率は宝くじよりも遥かに低い。都合のいいハッピーエンドが決まっているドラマやゲームの見過ぎではないですか？それも立派な「仮想空間」なんでしょうね。親御までもが仮想空間にハマっちゃてるんじゃ、どうしようもありませんね…

せいぜい言えるのは「落ちたくないのなら、落ちる確率を減らすべく少しでも勉強を積み重ねよ！（それでも落ちるときは落ちちゃうけど…）」ということだけ。リアルな世界で勝負をしようというのに、そこから目を背けて仮想空間に逃げているようでは、上手くいくものも上手くいかなくなるのは当たり前。間違っても、親御さんが「禁断の扉」を開けてしまわないように。では、また。