「合格実績」という数字のマジック（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #合格実績 #数字のマジック

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。阪神間の中学入試統一日から2週間が経ち、ぼちぼち中学受験大手各塾の合格実績も聞こえてきました。ところが、この「合格実績」というのが本当に曲者なんですね。「何言ってんのよ？塾なんて、どれだけ多く『合格実績』を出すかでしょ。志望校の『合格実績』が多い塾に行くことこそ志望校合格の近道。宝くじだってせめて『1等が出ました』っていう売り場で買わなきゃ。『1等』の実績もないところで買ったって当たる訳ないのと同じでしょうよ。」中学受験を宝くじと同列に語る時点で、私（当塾代表）なぞはその親御の精神構造を疑います。ま、そんなのがいてくれるからこそ、大手各塾は「数字」を競い合うことになるのですがね。

で、「合格実績」の何が「曲者」なのか。今年の数字を例に挙げてみましょう。数字はいずれも現時点で各塾がHP上に載せているものです。塾名は取り敢えずイニシャルにしておきましょう。

灘中（合格者227名）H91、M68、NZ47、NK30、SP26、NC10、SG7　合計279

甲陽学院中（合格者215名）H66、NK44、M36、NZ35、SG24、SP13、NC2　合計220

神戸女学院中（合格者154名）H51、NZ33、NK32、M18、SP10、SG9、NC2　合計155

そういうことなんですよ。特に灘中は注目している方も多いので、他の記事でも同様の指摘をしているのを何度も見かけたことがありますが、塾にとって「看板」となる難関校についてはどこも同じ。学校発表の合格者数を上回っちゃっているんですね、各塾の「合格実績」の合計が。これ、どういうことなんでしょう？

まず思いつくのが「ダブルスクール」2つ以上の塾に在籍すること。拘束時間の長い関西系の塾でそれはできないんじゃないかって？「真面目」に通えば無理でしょうね。でもその気になればどうとでもしますよ。A塾の「平日本科」とB塾の「土日特訓」の組み合わせとか。A塾の授業がない日に週1でB塾で受講する例もありました。双子の兄弟を駆使？して2つの塾に在籍させた「強者」もいましたね。同じ第一志望で「1勝1敗」という親御としては最も「キツイ」結果だったようですが。

笑い話にもなりませんが、入試当日の集合場所がA塾とB塾で同じ建物の1階と2階だったことがあり、玄関でA塾の先生がある「塾生」に「はい、こちらだよ。」と声をかけたのですが、「いえ、僕は…」と2階に向かってしまったのです。当日まで「ダブルスクール」に気付かなかったばかりか、その子にとってはメインは「B塾」だということまで見せつけられ、担当者は随分へこんだそうです。でも、その子の「合格」はちゃっかりA塾の「実績」にもなっていました。どっちもどっちですね。

次に、今年の場合は「オンライン講座」受講生の存在が無視できないでしょう。大抵の場合「テストのみ、季節講習のみの生徒は『合格実績』に含みません。」となっているようですが、これを読む限り通年扱いの「講座」受講生は含む、と考えてよいでしょうね。先程の週1受講だって立派な「通年授業」だということで「ダブルカウント」されているのですから。

「数字は大きければ大きいほどいい」という考えから離れられないのなら、それはそれでどうぞ突き進んでくださいな。「灘中に100名通る塾ならウチの子だってチャンスがあるかも。宝くじに当たることもあるかも。」と思いたいのなら、別にお止めしません。「数字のマジック」にドハマりしているうちは、気分が良いものでしょうから。ただ、それが「幻想」だったと気付いても、周りの誰かに八つ当たりするのはやめてください。それこそ親御の「自己責任」ですから。では、また。