中学受験早けりゃいいってもんじゃない②（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #受験勉強 #入塾時期

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。前回、受験塾への入塾時期が早まるにつれて、親御さんの期待とお子さんの現実とが乖離していくとお話ししました。早く入塾したからと言って望み通りの結果にならない例も多いということも。それはどういうことなのでしょうか。今回はその辺を突っ込んでみたいと思います。

まだ今ほど中学受験が一般的でなかった頃は、中学受験をするお子さんの条件といえば「学校でも優秀である」か「裕福な家庭である」か、またはその両方という感じでした。受験塾に入る時点で基本的な学習姿勢がある程度できているというのが普通でした。さほどレベルの高くない小学校なんかだと、そういう塾に通っているというだけで先生や他の親御から「あの子はよくできるからね」などと言われたものです。中学受験はまだまだ特別なものという雰囲気でした。

それから世は「学歴信仰」の時代を迎え、Ｎ○○の「み〇〇〇」ではありませんが「〇〇沼塾戦争」等というような現象が起きるほど受験塾がたくさん増えました。その頃は子どもも多くまた受験熱が盛り上がっていたので、どの塾も勢いがあったようですね。ところが、景気後退とともにお金のかかる受験への熱も落ち着いてしまい、また少子化の波に飲み込まれて塾も過当競争気味になります。

生徒募集に苦戦するようになり「なるべく多くの優秀生を集めて実績を出し、その実績で次の学年の優秀生をより多く集める。」という受験塾の必勝パターンが通用しなくなってきました。レベル維持のために入塾試験で底辺の生徒を不合格にするといった余裕はもはやなく、なりふり構わず入塾させるのが当たり前になりました。何かと「無料」を連発するだの、友達を紹介したら図書券を進呈するだの、夏期講習に参加したら高級アイスをただでくれるだの、一気に塾も低レベル化したような気がします。

それ目当てで来る生徒なんて高が知れているでしょう？そんな連中が来ることで塾の雰囲気が悪くなり、それに嫌気がさした優秀生がやめてしまうという本末転倒な事態も起きました。そうなると実績も出るはずがなく、更に生徒募集に苦しむことになるという悪循環。そんな風になって転げ落ちるように経営が悪化し、いつの間にか廃業した塾も少なくありません。正に「悪貨は良貨を駆逐する」なんですね。

スケールメリットで何とか生き延びた大手塾でも多かれ少なかれ生徒のレベル低下に悩まされています。入塾時の学力があまりに低く学習姿勢も全然できていないので、今まで通りのやり方ではどうしようもありません。かと言って、受験に必要なカリキュラムは決まっているので進度も変えられない。では、どうするか？もっと早くから入塾してもらうしかない、となるのです。

「アンタらの子どものレベルが低いから」とは言えませんから（笑）「１日でも早く始めた方が受験に有利ですよ」等と聞こえの良いセールストークで勧誘します。それを真に受けた親御は「早く始めたら、ウチの子でもあの志望校に行けるかも。」となりますよね。そして長く通っている内に「こんなに長く通ってお金もかけているのだから、志望校に受かるはずよね。」と変わってきます。でも、通塾日数も宿題も増えてきたことでお子さんが疲弊してくるのもちょうどその頃なんですね。

初めは週１で学習内容もお遊び程度、宿題も楽だったのに…それ、すぐにやめさせないための方策。下手にそれに慣れてしまうと、いよいよ受験カリキュラムに入るという時にダレてしまっていることも。そんな時に勉強の土台ができている子が入塾してくると、これが面白い？ように我が子を抜いていってしまう。挙げ句の果て、そんな子が「我が子が行くはずだった学校」に合格し、我が子はものの見事に不合格…受験勉強を早く始めたというだけでは何の役にも立ちません。お子さんの成長過程をよく見極めて、適切な時期に適切な学習を行うことが肝要です。ところが、最近は塾の受験カリキュラムすらが「拙速」ではないかと思わせるような事態になっています。そのことは次回に。では、また。