そして一人の先生が過労死する（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #中学受験ブログ #過労死

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。首都圏でも有名な大手塾で、個別指導教室の責任者を勤めていた男性が本社での研修中に倒れて死亡した件で、直近１ヶ月の時間外労働が113時間だったことがわかり労災認定されたというニュースがありました。百数十名いる教室生に対し、正社員は男性を含めて２人だけだったとのこと。そのニュースに対するコメントで「高い塾代を払っているのにバイト講師が教えるのは納得いかない。正社員が教えるべきだ。」というのがありました。ハッキリ言いましょう。このコメントの裏にある考え方こそが、一人の先生を死に追いやったのです。

まず「高い塾代」などと言っていますが、一体どの金額からを「高い」と言っているのでしょうか。プリント塾を営んでいる関係者に聞いたことがありますが、金額は関係ないそうです。「月謝が3000円の子の親御でも、8000円の子の親御でもクレームの内容は大して変わらない。むしろ、払わない方こそあれもこれもと要求する気がする。やたら教材をよこせとか、学校の進度に合わせろとか。そんなことをしても指導効果が薄いですよ、とアドバイスしても聞きゃしない。言うことを聞かせることで元を取ろうなどとでも考えているみたい。」

どうやら金額ではなく、金を払っているというだけで自分の方が立場が上だと言いたいというのが本音でしょう。我が国は自由経済なのだから、受けるサービスが金額に見合わないと思うのなら金を払わなければいいだけのこと。こういう発言の裏には「塾をやめさせるぞ」と脅しをかけてでも自分の言うことを聞かせようというやらしい根性しか見えてきません。こういうのに限ってやめないものです。やめてしまったら金は払わなくて済みますが、サービスも一切受けられなくなりますからね。ご家庭にそれだけの教育力はないでしょうから。子どもが「自分の言うことを聞いてくれなければ塾をやめる」などと言う例も少なくないようです。そんな子、ロクな大人にならんでしょう。でも、それを言わせているのも親御なんですよ。

企業としては、いかに金額以上の付加価値（オマケ）をつけて納得してもらうかという話になります。では付加価値はどうやってつけるのか？どんな形であれ、最終的には従業員の労働力を搾取して生み出すしかありません。それに対して誰も対価を払わないのであれば。簡単な経済の話なんですがね。結局わかってない、わかろうとしない人が多過ぎる。最初のコメントで言えば、講師全員正社員にしたら（ブラックにならないだけの）給料がどれだけ必要なのかわかってんの？現在の塾代で賄えると思ってんの？ということです。

これを拡大すると、学校に対して「面倒見が良い」ことを求めるのも同様の「悪行」だと言うこともできます。実際、学校の先生の過労死や健康を害しての途中退職が後を絶たないそうです。「灘や甲陽に行っても自分で勉強しなくちゃついていけない。だったら『面倒見が良い』と言われる学校にして国公立大にでも入れてくれればいいじゃない。『面倒見が良い』ことを言って何が悪いのよ！」と親御さんが開き直る。そして、また一人先生が過労死するのです。この現実をアナタはどう思いますか？では、また。