新指導要領？とっくに始まってるよ②（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #新指導要領 #読解力

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。前回、神戸市の副読本についてお話ししました。最近不祥事続きの神戸市教育委員会が、個人情報流出や大学入試改革での振る舞いで批判を受けた某教育系民間企業〇〇ッ〇の編集協力を得て発行した「ことばひろがるよみときブック」という教材です。その○○ッ〇関連のホームページで、この教材についての記事があります。

「2007年春、神戸市立小学校の5、6年生全員に読解力育成教材が配られた。『ことばひろがる　よみときブック』と題する冊子は、神戸市教育委員会（以下、市教委）が独自に制作した。5年生向け、6年生向けがあり、それぞれA4判で、72ページのオールカラー。ページを開くと、左に文章や資料（図、絵、グラフなど）があり、右の設問は読み取り・文章の要約・自分の考えを書くワークなど多彩な内容が並ぶ（図）。週1時間を目安として、年間を通して「総合的な学習の時間」などで活用していく予定だ。独自教材を制作した背景には、読解力低下への危機感があった。神戸市が毎年実施する学力定着度調査の結果、読解力に課題があることが明らかになったのだ。指導部主幹は、次のように話す。『読解力に課題があるといっても、それは国語の読む力だけではありませんでした。算数の文章題や、社会や理科の資料を読み取る力など、いわゆるＰＩＳＡ型の読解力にも課題があるとわかったのです。ただ、市販の教材にはこのような読解力の強化に適したものが見つかりませんでした。それなら独自に作ろう、ということになったのです』市教委の呼びかけの下、ワーキンググループに結集したのは、神戸市小学校教育研究会所属の教師や校長ら約30名。05年12月、ゼロからの教材作りがスタートした。」

「PISA」（Programme for International Student Assessment）とは、OECD（経済協力開発機構）が進めている国際的な学習到達度に関する調査のことで、15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、３年ごとに本調査を実施しています。新学習指導要領にも影響を与えているとされ、最近の調査では日本の子どもの読解力の低下が示されています。神戸市教育委員会の取り組みもここからきているのです。

ことほどさように鳴り物入りで導入された「ことばひろがるよみときブック」今では小3から配られているのですが、残念ながら市教委の「想定」とはかけ離れた使われ方を現場ではされているようです。学校や先生にもよるのでしょうが、一番多く聞いたのが「先生が研修とかでいなかったり、他のクラスに行っているときの自習時間にやっていた」という声。「授業はなかったの？」「ほとんどなかった。教室の後方に『解答』があって、解き終わったらそれで自分で〇つけしなさいって。悪い子だと、自分で考えずに隣の子の書いたのを写しただけで『できたから〇つけして、あとは遊んでよッと』だったよ。」

前回「これが本当に授業でしっかり扱われているのであれば大したもの」と皮肉を込めたのには、こういう理由があったのです。正に「笛吹けども踊らず」ですが、現場の先生にも言い分はあります。この教材の問題、今の小学生の平均的レベルでは週1時間程度では到底こなせません。いくらPISA型の「思考力、判断力、表現力」を養う必要があると言っても、「ゆとり指導要領」でいったん落ちた学力を一足飛びに復活させることなど夢のまた夢。教材を与えただけで「はい、やりました」なんて、どれだけお役所的な発想なんでしょう。

教材の中身だって本当にワーキンググループで作ったの？〇〇ッ〇の教材の焼き直し、どこかの公立中高一貫校の適性検査問題の一部なんじゃないの？そう思わざるを得ないくらい、学校によっては軽い扱いのようです。先行教材ですらこんな現実の中、いよいよ新指導要領が施行されます。もしかすると移行措置の段階で、既にあなたのお子さんに黄信号が灯っているかもしれませんよ。では、また。