「面倒見が良い」学校に行った子の末路③（神戸市北区西鈴蘭台の塾・灘中学受験Academia） #中学受験 #中学受験ブログ #中高一貫校

神戸市北区西鈴蘭台の塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾の灘中学受験Academiaです。前回、「面倒見が良い」学校では生徒や先生が疲弊して、やがて伸びが鈍化するというお話をしました。それでもなお「『面倒見が良い』ことを望んで何が悪いのか」というような声が根強くあるようです。ということで「面倒見が良い」学校のことをもう少し詳しくお話ししましょう。

ある私立高校は公立高校の滑り止めレベルの中堅校でしたが、中学を開校して中高一貫制を導入するのを機に校名を変え、新校舎も建設することにしました。また、制服も有名ブランドに依頼して一新。特に女子に受けのいいデザインとしました。それに加えて、理事長の鶴の一声で「新進気鋭の進学校」を目指すことになりました。

まずは、在校生のレベルを上げて合格実績を伸ばすこと。基礎学力を飛躍的に高めるために授業時間が増やされます。早朝から０時間目や小テストを実施、通常授業の後にもう１～２時間の居残り授業が続きます。その後、週に１～２日は部活もありますが、その他の日は新校舎に完備された自習教室で夜遅くまで「自主」学習をすることになります。いつでも質問ができるよう、先生やチューターも最後まで「残業」します。高３の１年間は受験勉強に専念させるため、高２までで高校範囲を終わらせるようなカリキュラムが組まれます。また、大学入試が近づいてくると外部の予備校講師が担当する学内予備校の講座を用意。もはや学校という範疇を越えて徹底的に受験指導して鍛え上げます。ここまでやれば流石に実績は伸びてきます。

「あの学校は勉強ばかりさせられる」という噂になると敬遠する向きが増えてしまうので、学校としては「そうではありませんよ」というアピールも必要になります。むしろ「他校よりも熱心ですよ」とばかりに、一般的な学校行事は勿論、有名企業見学や英語研修、海外留学とあれもこれもと詰め込んでしまう傾向も見受けられます。どの行事にも意味があるのでしょうが、体力的にも経済的にも負担がないと言えば嘘でしょう。しかし、「面倒見が良い」学校を探している親御さんには、こういったアピールがとても魅力的に映るようです。

やがて、実績が伸びてきたことが世間に認められ、プ〇〇○○トというような情報誌で「入学後に生徒が伸びる『お得』な学校」などと持ち上げられるようになると、学校としてももう後には引けなくなります。そういう情報誌のお蔭で志願者も増え、入学者のレベルも上がります。と同時に、入学させた親御の「期待値」もそれまでとは比較にならないほど上がってきます。生徒全員が受けた外部模試で偏差値が前より落ちたり、大学の合格実績が前年より悪かったりすると、在校生の親御が「何なの、この実績は。だれが責任を取るの？」と突き上げたりもします。実際に責任者のクビが飛ぶこともあります。

こうなると、先生と生徒（その後ろにいる親御）の関係が歪んできます。学校というよりもはや「企業」になってしまうのです。ある「面倒見が良い」学校の説明会で、担当の先生が吐き捨てるようにつぶやいた言葉が今でも耳に残っています。「私たちは『学校の先生』なんかじゃない。ウチの学校では単なる『サービス業』なんだよ。」このお話、もう少し続けます。では、また。