灘中入試2018【神戸市北区西鈴蘭台の塾　灘中学受験Academia】 #灘中

神戸市北区・西鈴蘭台の学習塾、中学受験・中高一貫校進学指導専門塾　灘中学受験Academiaです。

さすがにぼちぼち灘中について書いてみましょうか、ということで今年の入試で思ったことを徒然なるままに書き記します。

当塾代表の出身校・灘中学校。言わずと知れた名門校。東大・京大をはじめとする国公立大学への合格者数も目を見張るものがあります。毎年、入試当日に入試問題を売り出しています（１試験200円）。売り出し時刻前になると、体育館に設けられた売り場には塾関係者をはじめ入試問題を入手しようとする人の長い列ができます。その傍には、心配そうな表情で入試会場に送り出した息子さんのことを考えていらっしゃる親御さんたちの姿も。

さて、今年の入試問題、ちょっと例年と違ったところがあるように感じました。大手の塾泣かせ？でしょうね。首都圏の中学入試で国語を担当していた私（当塾教室長）からすると、関西の国語の入試問題は「甘い！」と感じたものです。まず問題文が短い。長けりゃいいってモンでもないのですが、こんなんでいいの？と思ったものです。首都圏では4,000字（！）に及ぶ問題文もあったくらいです。関西の学校はとにかく算数重視なのでしょう。関西では大手塾でもこれでもかと言わんばかりに、算数・算数・算数と算数にばかりリキを入れてますものね。でも、今年の灘中学の国語の入試、少し変化があったと感じました。特に二日目の問題で「理由を答えなさい」「わかりやすく答えなさい」という記述式の問題がやや増えていたからです。

そんなのちっとも不思議じゃないわ、とお考えの灘中学志望の親御さん。最近の灘中の国語は決して難しくないのです。それなのに、明らかに国語が易化したと思われる年度でも、平均点がそれほど変化していません。算数重視のあまり国語力が蔑ろにされてきたきらいが見て取れます。長年中学受験の指導にあたっている私どもでも「ちょっとこれは…」と感じていました。国語が低くても算数でカバーすれば…で、１日目の算数で失敗して、泣きながら試験会場から出てきて、２日目もまったくリカバーできずにジ・エンド…残念ながら、例年少なくありません。灘中側もこれに配慮して、入試科目順を固定したくらいです。（かつては科目順をローテーションしていました。国理算の翌年は理算国というように）

昔から灘中学の国語の入試問題は、一日目は主として言葉の問題が中心、二日目は詩と記述中心の問題、と出題形式は決まっています。外来語などは当塾代表が受験したころから連綿と出題され続けています。「注目度が高いためおいそれと止められなかった」という先生の声も聞いたことがあります。今年もその形式は変わらないのですが、明らかに「記述の難度がアップ」「記述の問題の数もアップ」しています。これは、来る大学入試改革、および新傾向の入試を意識したものでしょう。もっと言うと「先祖返り」した入試、ともいえるかもしれません。

理科でも「おや？」という部分がありました。ただ単に難しくなった、というのではありません。例年出題されている、ちょっとした知識問題や複雑な計算問題など、灘らしさは健在でした。そこに、「こういう仮定であれば結果がどうなるか推測させる」「ヒントを問題から読み取って考えていく」というような論理的思考力を試す出題がやや多く見受けられました。いずれも、問題集や過去問を解いて解法パターンを覚えるだけの学習（答えを頼りにする姿勢）では太刀打ちできません。

ある掲示板で「塾でこのような『変わった』パターンを教えてくれていれば…」という恨み節がありましたが、そもそもそういう姿勢が大間違いなのです。不合格になった人はよく「今年は傾向が変わったから…」云々とおっしゃいますが、大抵大手塾の入試解説会では「今年も例年通りの傾向でした」となります。今年の灘中入試も、以上のような変化はみられるものの、傾向が変わったとまでは言えません。灘らしさは残したまま、大手塾の要請（自分たちが対策を立てやすいように変えないでほしい）よりもこれからの時代の要請に舵を切ったものと考えるべきでしょう。それについていけない程度の学力なら、灘中に合格できないのも致し方ないでしょう。

今年の灘中算数１日目の入試問題は、当塾代表が解いたものが教室に張り出してありますので、よろしかったらどうぞ。

灘中のことはこれからも時折お話ししていきます。では、また。